今回の記事では、公開年別のマイベスト映画作品をご紹介します。
評点は5.0~1.0まで、0.5点きざみの9段階評価で、平均以上となる3.0以上の作品をランクインさせています。
今回取り上げたのは1978年で、5本の作品が3.0点以上でした。
5位 ドランク・モンキー/酔拳 3.0
ブルース・リー亡き後のカンフーアクション界でジャッキーがスターへと駆け上がるきっかけとなった作品。
酒に酔うことで強くなるという設定はコミカルなアクションを得意とするジャッキーの良さを存分に引き出しています。
前半は息つく間もなく誰も彼もが闘い始めるので楽しい反面詰め込みすぎな気がしてしまいましたが、ストーリー自体はシンプルで下手に恋愛要素やシリアスな展開を盛り込まなかったのが良かったです。
修行が始まってからは程良い笑いを挟みながらクライマックスの決闘へと進んでいくのは良いのですが、前半に縦横無尽のアクションを見せられ過ぎたせいか、その決闘が地味で物足りなく感じてしまいました。
ただ唐突な終劇がカンフー映画を観た気持ちにさせてくれました。
4位 スーパーマン 3.0
アメコミヒーロー映画の先駆的作品。
その生い立ちと若い頃の苦悩をわかりやすいエピソードでさらりと描くテンポの良さが素晴らしかったです。
変身しても素顔が丸出しだったり、無茶苦茶な方法で時間をさかのぼったり、荒唐無稽であるのは言わずもがなで、粗探しするのが野暮だと思わせる能天気なほのぼのコメディでした。
クリストファー・リーヴのビジュアルは一世一代のハマり役ですし、マーロン・ブランドとジーン・ハックマンという豪華な布陣には驚かされつつも違和感がなく、キャスティングの妙が楽しいです。
巨悪との対決ではなく、小悪党が引き起こした一般市民の危機を救いまくるクライマックスは地味ではあるものの、コメディタッチの今作にはマッチしていました。
3位 ルパン三世 ルパンVS複製人間 3.5
劇場版第一弾の傑作アニメーション。
自身が処刑されたという報に困惑するルパンを謎の組織が襲撃し、一味は国際的な陰謀に巻き込まれていく物語です。
ハードボイルドな雰囲気にアニメらしからぬセリフの応酬、そして世界征服などという悪役お決まりの設定を超越したスケールの大きな野望は大人向けを志向した作り手の意図が奏功している印象です。
子供心にトラウマを植え付ける不気味なビジュアルが素晴らしく、キリコやダリの絵の引用も単なる遊び心でなく、裏が明かされた時に意味を成す演出として巧みでした。
そして声優陣のパフォーマンスは言わずもがなで、特に山田康雄の演技なくしてルパンが完成しなかったことは剛柔自在の今作においてよく感じられました。
2位 ハロウィン 4.0
80年代のスラッシャーホラーブームの源流となったジョン・カーペンターの傑作。
オープニングから冒頭の有名なPOV長回しカットは不穏な雰囲気でサスペンスを煽るだけでなく、シリーズのアイコンとなる殺人鬼マイケル・マイヤーズの異常性をショッキングに紹介することに成功しており、カーペンター自身が手がけたテーマ曲もシンプルゆえに強烈に脳裏に刻まれます。
そこからの一時間は後発のスラッシャーを見慣れた目には地味で焦らしすぎに写りますが、ロングショットの中に現れては消え、画面の端に映り込み続ける手法は映像的な恐怖演出のお手本のようで、キャラクター創出だけでないエポックメイキングな作品としての価値を存分に感じられました。
ラストのノーリアクションから惨劇の舞台のダイジェストに重なる呼吸音も実に映像的な見せ方で、タイトルと音楽のタイミングも完璧でした。
1位 ゾンビ 4.5
映画のみならずあらゆるカルチャーに絶大な影響を及ぼし、一つのジャンルを確立したゾンビ映画の金字塔。
複数のバージョンが存在することでも有名ですが、個人的には人間の愚かさに対する皮肉がもっとも強く感じられるロメロ版が好みです。
また、登場人物が基本的に理性的な行動を取るので、ストーリー進展のためのご都合主義がほとんど感じられないところも好印象です。
明快な答えなど用意されない不条理な状況、立て篭もったことで露わになる人間の欲望、絶望的で救いのない結末、それら今作によって形作られた定義は、それをいかに守るか、あるいはいかに破るかがゾンビ映画というジャンルにとっての指標となっています。
いかがでしたでしょうか。
1978年は2本の映画史に残る名作ホラーが生まれた年でした。
次回の記事では、1966年を取り上げます。
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